4 バンギャ社会の階級構造
|
ここで、バンギャ社会のヒエラルキー構造について少し考察を加えておきます。
かつて第一次ヴィジュアル系ブームの頃には、バンギャ社会には確固としたヒエラルキーが存在しました。年齢、そのバンドのライブに通っている年数、ファン主催のイベントへの参加率、バンドへの投資額など、バンドに関連するすべてが彼女たちの階級を決めていました。中にはファン団体の「総長」と呼ばれる者がいて、彼女の命令が絶対であることも少なくありませんでした。前述のように、酷い場合には、新規でファンになった者をターゲットにし、ライブに来られないよう集団で潰しにかかるようなことさえありました。
こう書くと非常に恐ろしい世界のように聞こえますが、実際はそのヒエラルキーが存在したことによってバンギャ社会の秩序は保たれていました。潰しに遭う新規のファンは、多くの場合マナーやコミュニケーションにおいて問題のある者が大半だったのです。また、階級の高い者が「バンドのために」と声をかければ、ライブ終了後のゴミ拾いが積極的に行われました。ライブハウスの最前列を仕切るのをやめさせたのも上層部のバンギャが若いバンギャを教育していた結果です。この傾向はPIERROTやDir en greyといった90年代後半に中堅位置に存在したバンドのファンの間で顕著でした。
しかし、上記のような第一次ブームを担うバンドの解散や活動休止が相次いだことにより、上層部にいたバンギャ達は熱を失い、下についていた「ヒラ」のバンギャたちも居場所をなくしていきます。バンド側、ファン側の双方の理由で「ヴィジュアル系」の文化が衰退していったのです。この氷河期は2003年 頃から数年に渡って続きました。
しかしながら、「第二次ヴィジュアル系ブーム」がおこると、過去にあったような階級社会はほぼ存在しなくなりました。なぜなら、ごく一部の熱狂的なヴィジュアル系マニアを除いては、ほとんどのファンが新しく付いた新規であったからです。もはやバンギャ社会には統率をとる者は存在せず、ライブ会場はどこのバンドも混沌となっています。統率をとるといっても前述の「仕切り」がいる程度で、自由にライブを楽しみたい最近のバンギャにはあまり好まれていません。
続きを読む