1 ヴィジュアル系とは

 「ヴィジュアル系」とは、御存知の通り日本のロックバンドの系統のひとつで、男性中心でありながら奇抜なファッションやメイクをしていることを特徴とします。
 はてなキーワードによれば『具体的な定義は無い。ヴィジュアル系っぽい曲調やヴィジュアル系っぽい雰囲気というのは存在するが、共通した様式の様なものはなく、歌詞も暗いものばかりではない』とあります。が、私からしてみれば「ヴィジュアル系」の定義は確実に存在していると考えます。

 私の考える現代におけるヴィジュアル系の定義とは、

 ・第一に、本人達がヴィジュアル系と意識して活動をしている(または活動した時代があった)こと
 ・第二に、ファンの大半が広義の「バンギャル」(後述)と呼ばれるヴィジュアル系ファンの女性達で構成されていること

 この二点です。これらに当てはまれば大概ヴィジュアル系バンドであるといってよいのではないでしょうか。あくまで2009年の時点での解釈ですが。
 さらに、音楽性や歌詞においても共通性が見られると思います。これに関しては後述します。

 ヴィジュアル系と言えば、1980年代に青春を送った人にしてみればX JAPANやBOOWYのイメージが強いですよね。ただし、この時代のバンドに関してはまだ「バンギャル」という概念が存在しなかった上、ハードロックやヘヴィメタルを基礎とした音楽性から男性ファンも多数いるため、厳密には現代の「ヴィジュアル系」の定義には当てはまらないと言えます。ただし、確実に現在のヴィジュアル系バンドおよびそれに付随する文化の基礎となっていることは間違いありません。

  参考:Xの初期と思われるアーティスト写真
 
 それより年代が少し下がり、1990年代中盤頃にトレンドの中心にいた世代になると、ヴィジュアル系として認識されているバンドはLUNA SEA、L'Arc〜en〜Ciel、GLAYが代表格として挙げられるのではないでしょうか。日本のロックバンドに対してあまり興味のなかった人にも馴染みのある名前のはずです。ちなみに私が人生で初めて見に行ったライブが'96年のL'Arc〜en〜Ciel「Carnival of true」のファイナル公演だったので、この年から自分のバンギャ人生始まったと思っています。ラルクはヴィジュアル系じゃないぞという反論が早くも聞こえてきそうですが、その点に関しても後述しますね。
 
参考
【左】LUNA SEAのインディーズ1stアルバムのジャケット。
   明らかにXの影響を受けているのがわかりますね。
【右】GLAYのメジャーデビューシングル。
   今では考えられないほどの女性っぽいTERUさんが印象的です。


 この年代のバンドは確実にその風貌について「ヴィジュアル」を意識しており、女性ファンを取り込むことを意識し始めた世代といえます。私もそれに魅せられた一人であり、L'Arc〜en〜Cielの「Vivid Colors」のプロモーションビデオのhydeの美しさに呆然としたのをよく覚えています。そして「一夜限りの復活」までライブこそ観た事がありませんでしたが、LUNA SEAは今でも神バンドだと信じてやみません。GLAYのJIROは当時ファッションリーダーだ等ともてはやされたものです。
 ただ、彼らはヴィジュアル系の走りとなったバンドと完全なヴィジュアル系バンドの境目に位置するため、いわば谷間の世代であり、はっきりと「ヴィジュアル系かどうか」の分類をすることは難しいといえます。

  
参考:Vivid Colors時代のL'Arc〜en〜Ciel・hyde氏。女性かと見間違えます。

 さらにSHAZNAやMALICE MIZERといった1990年代後半から活躍したバンドあたりまで来ると、完全に「ヴィジュアル系」ですね。なぜなら、この頃になってやっと「ヴィジュアル系」という言葉が生まれ、「音楽性よりも見た目のインパクトで勝負するバンドがヴィジュアル系である」といった世間的な認知も広まっていったからです。この頃はワイドショー等でも盛んにヴィジュアル系のことが取りあげられていました。
 私はといえば97年に初めてのライブハウスでPIERROTのライブに衝撃を受け、Dir en greyにも夢中になって、ヴィジュアル系専門雑誌である「SHOXX」や「FOOLS' MATE」を買いあさるバンギャと化していました。


     
参考:
【左】SHAZNAのヴォーカル・IZAMのルックスは「女性顔負け」と評判でした
【右】MALICE MIZERを率い、ゴスロリの流行の火付け役となったMana

 というように、80年代中頃〜2000年代初頭にヴィジュアル系バンドが隆盛した時代を、現代ではまとめて「第一次ヴィジュアル系ブーム」と呼ぶようです。もっとも、当時はその人気は飛ぶ鳥を落とす勢いで、先に挙げたようなバンドやその他にもカルト的な人気のあった多くのバンドの解散が相次ぎ、ヴィジュアル系が衰退するとは誰も予想だにしていませんでしたが。そして未だに多くの人の中で「ヴィジュアル系」は過去の流行であり、遺物なのではないでしょうか。

 しかしながら、そうして一度陽の目を浴びなくなっていたヴィジュアル系の流行とそれに伴う文化が今、再び息を吹き返し始めているのです。現代のこの現象は「第二次ヴィジュアル系ブーム」と呼ばれています。私としては嬉しいような意外なような、複雑な心境です。
 こうしたヴィジュアル系の歴史を、次で更に詳しく振り返っていこうと思います。

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